感染症について
感染症とは?
感染症とは、体に侵入した病原体(ウイルス・細菌・真菌など)が体内で増殖し、炎症や発熱、咳、のどの痛みなどを引き起こす病気のことです。呼吸器に起こる感染症は「上気道感染症」と「下気道感染症」に分けられ、軽いかぜから重症肺炎まで幅広い病気を含みます。
原因となる微生物
ウイルス
例
- ライノウイルス:かぜの大半を占めるウイルス
- インフルエンザウイルス:毎年冬季に流行。最近は渡航の影響もあり、夏にも見られることが増えた。
- RSウイルス:乳幼児や高齢者で重症化しやすい。乳児は特に呼吸状態が悪化しやすく、入院することもある。
- 新型コロナウイルス(COVID-19):全身症状から肺炎まで多彩な症状。後遺症を認めることもある。
など
細菌
例
- 肺炎球菌:成人肺炎の代表的原因菌
- インフルエンザ菌(ヒブ):小児の髄膜炎や副鼻腔炎にも関与
- マイコプラズマ:学童や若年層で多い肺炎
- 百日咳菌:特に小児で特徴的な咳を引き起こす
など
真菌
- アスペルギルス、カンジダ:主に免疫力の低下した方に発症する
症状を起こす部位と代表的な感染症
上気道感染症(鼻・咽頭・喉頭)
- 急性咽頭炎・扁桃炎:のどの痛み、発熱
- 副鼻腔炎(蓄膿症):鼻づまり、頭痛、膿性鼻汁
- 喉頭炎:嗄声(声のかすれ)、咳
下気道感染症(気管・気管支・肺)
- 急性気管支炎:咳、痰、発熱
- 肺炎(細菌性・ウイルス性):高熱、呼吸困難、胸痛
- 新型コロナウイルス感染症(COVID-19):発熱、倦怠感、咳、味覚嗅覚障害、肺炎
代表的な呼吸器感染症と特徴
| 感染症 | 主な原因微生物 | 主な症状 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 普通感冒(かぜ) | ライノウイルスなど | 鼻水、咽頭痛、咳 | 自然に改善することが多い |
| インフルエンザ | インフルエンザウイルス | 高熱、筋肉痛、咳 | 抗ウイルス薬あり、ワクチンで予防可 |
| マイコプラズマ肺炎 | マイコプラズマ | 乾いた咳、発熱 | 若年層に多い |
| 肺炎球菌性肺炎 | 肺炎球菌 | 高熱、膿性痰、胸痛 | 成人肺炎の代表、ワクチンで予防可 |
| 百日咳 | 百日咳菌 | 長引く咳、咳き込み | ワクチンで予防可 |
| 新型コロナウイルス感染症(COVID-19) | SARS-CoV-2 | 発熱、咳、倦怠感、肺炎 | 重症化予防にワクチン接種有効 |
感染症を予防できる主なワクチン
呼吸器感染症の中には、ワクチン接種によって予防できるものがあります。
- インフルエンザワクチン:毎年接種により重症化予防
- 肺炎球菌ワクチン:高齢者や基礎疾患を持つ方に推奨
- 新型コロナワクチン:重症化や入院のリスクを軽減
- 百日咳ワクチン:小児定期接種として実施 抗体が下がってくると感染リスクが上がる
- ヒブワクチン:小児の重症感染症を予防
診断と治療
- 診断:症状、身体所見に加えて、血液検査・胸部X線・抗原検査・PCR検査などを組み合わせて行います。
- 治療:
- ウイルス感染:対症療法が中心。一部抗ウイルス薬があるウイルスもある(例:インフルエンザなど)
- 細菌感染:抗菌薬(ペニシリン系・マクロライド系など)
- 真菌感染:抗真菌薬(免疫低下例で使用)
まとめ
呼吸器感染症は上気道感染(咽頭炎、副鼻腔炎など)から下気道感染(気管支炎、肺炎、新型コロナなど)まで多岐にわたる疾患です。
症状が長引く、強い発熱がある、呼吸が苦しいといった場合には早めの医療機関受診が必要です。
また、インフルエンザ、肺炎球菌、新型コロナ、百日咳などはワクチン接種で重症化や予防が可能です。感染症から体を守るためには、日常生活での手洗い・うがいに加え、適切なワクチン接種が大切です。





