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「肺年齢」で今の呼吸機能を知りましょう

[2025.10.24]

― 呼吸機能検査が教えてくれる“見えない老化” ―

皆さんは「肺年齢」という言葉を聞いたことがありますか?
肺年齢とは、呼吸機能検査(スパイロメトリー)で測定した肺の働きを、同年代の平均と比較して算出した“肺の若さ”を表す指標です。
見た目や体力年齢とは異なり、実際に呼吸器の状態を数字で知ることができる、非常に有用な検査です。


肺は知らないうちに老化する臓器

私たちの肺は20歳前後をピークに、加齢とともにゆっくりと機能が低下していきます。
喫煙、長年の風邪・咳の放置、大気汚染、アレルギーや喘息などの慢性的な炎症も、肺の老化を早める原因になります。
ところが、肺は“沈黙の臓器”ともいわれ、自覚症状が出にくいため、気づいた時には息切れや慢性的な咳、階段での呼吸苦などが現れていることも少なくありません。


呼吸機能検査でわかること

呼吸機能検査では、「どのくらいの空気を吸い込み吐き出せるか」「どのくらいの速さで吐けるか」などを調べます。
その結果から、閉塞性障害(気道が狭くなる状態)や拘束性障害(肺が広がりにくい状態)を判定し、慢性閉塞性肺疾患(COPD)や気管支喘息などの早期発見に役立ちます。
さらに、計測値から推定される肺年齢を算出することで、「自分の肺が実年齢に比べてどのくらい元気か」を視覚的に理解できます。


肺年齢を知るメリット

肺年齢を知ることは、単なる健康チェックにとどまりません。
たとえば喫煙者の方が「自分の肺年齢が実年齢+10歳」と知ったとき、禁煙への強い動機づけになります。
また、喘息やアレルギー性疾患を持つ方にとっては、治療の効果を客観的に評価できる指標にもなります。
運動習慣を見直すきっかけにもなり、肺年齢の進行を防ぐ生活改善につながるのです。


肺年齢が実年齢より高いと言われたら
― 放置してはいけない「肺のサイン」 ―

健康診断や呼吸機能検査で「肺年齢が実年齢より高い」と指摘されると、不安に感じる方も多いと思います。
実はこの結果は、単なる“老化”ではなく、気づかないうちに肺や気道にダメージが進んでいるサインであることがあります。
今回は、肺年齢が高くなる主な原因疾患と、放置した場合のリスクについてご説明します。


肺年齢が高くなる主な原因疾患

1.慢性閉塞性肺疾患(COPD)
最も代表的なのがCOPD(シー・オー・ピー・ディー)です。
長年の喫煙や受動喫煙、大気汚染などが原因で、気道が炎症を起こし、徐々に細くなる病気です。
初期は軽い咳や痰、階段での息切れなどが見られますが、進行すると少しの動作でも息苦しく、日常生活に支障をきたすようになります。
COPDは早期発見・早期禁煙で進行を止められますが、放置すると回復が難しくなるのが特徴です。

2.気管支喘息
喘息は一時的な発作の病気というイメージがありますが、実際には慢性的な気道炎症が続く病気です。
炎症をコントロールせずに放置すると、気道が固く狭くなり(リモデリング)、肺年齢の加速的な上昇を招きます。
症状が軽くても、定期的な吸入治療や医師の管理が重要です。

3.咳喘息やアレルギー性気道炎症
「風邪のあと咳が続く」「夜だけ咳が出る」といった軽い症状の裏に、咳喘息やアレルギー性炎症が潜んでいることもあります。
これらも気道を慢性的に刺激し、時間をかけて肺機能を低下させる原因になります。

4.間質性肺炎や肺線維症
喫煙や自己免疫疾患、薬剤、感染などがきっかけで、肺の奥(間質)が硬くなる病気です。
呼吸機能検査では肺の広がりが制限される「拘束性障害」を示し、肺年齢が高く算出されます。
進行性で治療が難しいため、早期の発見と専門的な評価が不可欠です。


放置するとどうなる?

肺は一度ダメージを受けると、再生しにくい臓器です。
肺年齢が高いまま放置すると、以下のようなリスクが生じます。

  • 息切れや咳の慢性化で、仕事や日常生活の質が低下
  • 感染症(肺炎やインフルエンザ)への抵抗力低下
  • 酸素不足による倦怠感・集中力低下
  • 心臓や血管への負担増加(肺高血圧・右心不全など)
  • 重症化リスクの上昇(特に高齢者・喫煙者・基礎疾患がある方)

また、徐々に症状に慣れてしまい、悪化に気づかない「サイレント進行」も危険です。
呼吸機能の低下は元に戻せないことが多いため、早めの介入が何より大切です。


肺年齢が高かったときの次のステップ

  1. 呼吸器内科で精密検査を受ける
    胸部レントゲンやCT、呼気NO、モストグラフなどで原因を確認します。
  2. 禁煙・生活習慣の見直し
    肺への炎症刺激を減らすことが何より重要です。副流煙や粉塵吸入でも悪化することが知られています。
  3. 定期的なフォローアップ
    治療を始めたあとも、年1回の呼吸機能チェックで経過を見守りましょう。

肺年齢は“未来の健康”の指標

肺年齢が実年齢より高いという結果は、怖がる必要はありませんが、無視してはいけないサインです。
今の段階で適切に対処すれば、肺機能の低下を防ぎ、将来の生活の質を守ることができます。
当院では、肺年齢の評価から精密検査、禁煙支援、生活指導まで一貫して行っています。
「少し息切れが気になる」「肺年齢が高いと言われた」方は、早めのチェックをおすすめします。


肺の健康は“今”のチェックが大切

心臓や血圧の検査と同じように、肺も定期的に状態を確認することが重要です。
呼吸機能検査は数分で終わり、痛みもなく簡単に受けられる検査です。
咳が長引く方、息切れが気になる方、喫煙歴のある方はもちろん、「特に症状はないけれど自分の肺年齢を知ってみたい」という方にもおすすめです。


当院では、肺年齢を含む呼吸機能検査を随時行っています。
ご自身の“肺の若さ”を知ることは、未来の健康を守る第一歩です。気になる方はぜひ一度ご相談ください。

(執筆:呼吸器内科専門医・アレルギー専門医 ハピコワクリニック五反田・田町三田駅前内科・呼吸器内科・アレルギー内科 岸本 久美子

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