呼気NO検査(アレルギー性の咳、気道症状のある方へ)
成人の気管支喘息が年々増加しています。かつては喘息というと小児喘息のイメージが強かったと思いますが、昨今では中高年で発症する人が増加し、成人の20〜30人に1人は気管支喘息を持っているとされています。喘息は気道の炎症によって引き起こされます。気道の炎症状態を正確に把握するために呼気NO検査が大変有用です。
目次
1・呼気NO検査とは
2・呼気NO検査の基準値
3・呼気NO検査の方法
1・呼気NO検査とは
吐いた息の中に含まれる一酸化窒素(NO)濃度を測ります。喘息を持っている人は気道が炎症を起こしています。気道に炎症が起こると、粘膜で覆われた気道上皮にINOS(誘導型一酸化窒素合成酵素)が誘発され、NO(一酸化窒素)を大量に作り出します。気道の炎症で吐き出されるガスにはNO(一酸化窒素)だけではなく、エタン、一酸化炭素、ペンタンといった成分の濃度も上昇します。これらのガスはCOPD(慢性閉塞性肺疾患)でも同様に濃度が高くなるのですが、喘息の場合は特異的にNO(一酸化窒素)の値が高くなる特徴があります。
今まで一度も喘息の診断を受けたことがない人や、激しい咳などの症状がない人でも呼気NO検査をすることで、いわゆる隠れ喘息と呼ばれる喘息が判明することがあります。呼気NO検査は今後の喘息などの治療の目安として大いに役立ちます。喘息の治療は常に喘息のコントロールをしていくことです。呼気NO検査を定期的にすることによって、使用しているステロイド薬や併用している薬の効果や量の調整をする指針になります。
また、肺機能(スパイロメーター)検査とどう違うのかと言いますと、肺機能(スパイロメーター)検査は肺活量など肺全体の機能を調べます。肺機能(スパイロメーター)検査では炎症の有無を調べることはできません。
2・呼気NO検査の基準値
測定値はppb単位で表示されます。成人健常者の平均正常値が15ppbとされていて、22ppb以上だと喘息の疑いがあり、37ppb以上になるとほぼ喘息であると診断されます。
呼気NO検査は単に喘息があるかどうかだけではなく、すでに喘息にかかっている人が治療の過程で気道炎症のコントロールができているかの確認にも有用です。
3・呼気NO検査の方法
呼気NO検査は非常に簡単にできます。大きく息を吸い込んで、マウスピースに向かってゆっくり、10秒程度息を吹き続けます。ポイントは一定の速度で吐き続けることです。およそ2分弱で結果がわかります。小さなお子さんからご高齢の方まで実践できる検査となっています。
検査を受ける際の注意点として、ほうれん草やレタスなどの硝酸塩を多く含む葉物類の摂取、飲食、喫煙、これらは検査前2時間は控えてください。喫煙者は非喫煙者よりも数値が低く出るため、あらかじめ申告しましょう。服用している治療薬によっては正しい数値が得られないこともあります。激しい運動の後も数値が下がります。アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎にかかっている方は数値が高くでるため、喘息の判定が難しい場合があります。
気道の炎症を正確に認識することが効果の高い治療に繋がります。呼気NO検査ができるアレルギー科、呼吸器科へ受診することをおすすめします。
長引く咳、たん、息切れ、アレルギーなどの、ご心配の場合には、呼吸器専門医・アレルギー専門医・総合内科専門医が在籍している当院にお気軽ご相談ください。
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