イネ科の花粉症と咳について
スギやヒノキは花粉症の代表的なもので、実際に花粉症の方の多くはスギかヒノキです。ところが近年イネ科の花粉症も注目されています。イネ科の植物と聞いてもすぐにピンとくる人は少ないと思いますが、意外と身近に生息しているものが多いです。イネ科の花粉症と咳について詳しく解説していきます。
目次
1・花粉症を起こすイネ科の植物と特徴
イネ科の植物は多種にわたり、ほとんどが草本で野原などによく生えている、いわゆる雑草と言われるものです。「イネ」という名前からお米の稲を想像されるかもしれませんが、花粉症の原因となるイネ科の植物はお米の稲ではなく、カモガヤやハルガヤなどの明治初期に海外から輸入され、戦後に野草として繁殖した牧草です。
イネ科の植物はスギやヒノキなどの高木と違い、花粉の飛散距離は数キロ以内です。そのため、生活範囲の中に生えていなければ花粉症を発症する可能性は低くなります。
特に原因となるのはカモガヤで、60㎝〜120㎝ほどの高さで白い小花がついています。道路脇や空き地、河原などでよくみかけます。そのほかハルガヤ、オオアワガエリ、カモガヤ、アシ、キョウキシバ、コヌカグサなどがイネ科の花粉症を起こす植物としてアレルギー検査でも確認できます。
2・イネ科の花粉症の時期と咳の関係
イネ科の花粉症の時期は各地域で異なりますがほぼ一年中どこかの地域で少なからず飛散している状況です。比較的多い時期をまとめてみます。
北海道 6月中旬〜下旬
東北 5月下旬〜6月上旬
関東 4月中旬〜7月中旬
東海 3月下旬〜10月
関西 3月下旬〜6月中旬・7月中旬〜10月
九州 4月中旬〜6月中旬・7月中旬〜10月中旬
主にイネ科の花粉の飛散時期のピークは春の終わりから夏の初旬にかけてと言えるでしょう。6月の梅雨時には雨の影響で一時的に飛散量が減りますが、梅雨が明けて気温の高い日が訪れると一気に飛散します。夏頃になっても咳が続いている、鼻水や目のかゆみが続いている方は一度イネ科のアレルギー検査をした方が良いでしょう。イネ科の植物は多種にわたり、花粉のアレルゲンとなる物質の形状が類似したものが多いので、一度何かのイネ科のアレルギーに反応すると徐々に他のイネ科の植物にも反応する可能性が高くなってきます。イネ科のアレルギー症状は粘膜に強く出るとも言われており、アレルギー性鼻炎から咳や喉の違和感を伴うといった呼吸器の症状が酷くなる場合もあります。
また、イネ科の花粉症を発症すると口腔アレルギーも併発する可能性もあります。イネ科の植物がウリ科のスイカやメロン、マメ科のピーナッツなどと似ている抗原を持っているからです。その他ナス、ジャガイモなどのナス科の食べ物も似ている抗原を持っています。これらの食べ物を食べた後に唇が腫れる、喉がイガイガする、口の周りや喉に違和感があるなどの症状がある場合にはイネ科のアレルギーを持っている可能性があるので受診することをおすすめします。
3・イネ科の花粉症の治療と対策
イネ科の花粉症対策で最も重要なことは、とにかく該当する雑草が生えている近くに寄らないことです。自宅の庭に生えてしまっている場合は、花粉が飛び始める前に除草しましょう。イネ科の花粉は午前中に大量に飛散するので、午前8時から10時くらいの気温が高い日は特に注意が必要です。
他の対策は花粉症と同じですが、気温が上がりマスクをつけるのが辛い時期でもあります。不織布マスクでも息がしやすくなっているもの、立体型のものなど工夫をしてみましょう。サングラスやゴーグルで目の保護をすることも忘れないようにしましょう。イネ科の植物は比較的低いところにあるので、足もとの花粉もしっかり落とし、お散歩した後のペットに付着した花粉も落とすことが大切です。
お薬の治療は基本的に他の花粉症と同じです。ただしイネ科の花粉症は粘膜に強く症状がでることもあり、飲み薬に加えて点鼻薬や点眼薬も使うことでより症状が改善されます。今までスギやヒノキの花粉症でお薬をもらっていた人も、イネ科の花粉症の疑いがあるときは、お薬を飲み続ける必要があり、医師と相談して薬の服用をしましょう。
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