呼吸理学療法について
「呼吸理学療法」とは、呼吸リハビリテーションのことです。呼吸法や運動療法、リラクゼーション法などを取り入れることで、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、肺気腫、慢性気管支炎など様々な呼吸器疾患の改善に効果的です。あまり聞き慣れていない人も多い「呼吸理学療法」について解説していきます。
1・呼吸理学療法とは
呼吸理学療法とは呼吸器の低下に伴い日常生活に支障がでている方に、呼吸法や排痰法、リラクゼーション法、運動療法などを用いて、呼吸困難の緩和、運動能力の向上、日常の活動性を高めることを目的として行う療法です。
近年増加傾向にあるCOPD(慢性閉塞性肺疾患)患者さんの治療法の一つとしても有効性が実証されています。慢性的な呼吸疾患だけでなく、心因的な発作で起こる急性の呼吸困難の際にも効果がみられます。
呼吸理学療法は理学療法士の指導のもと行うプログラムで、主治医と理学療法士、患者さんが一丸となって取り組むものです。普段使用しているお薬との併用でさらなる効果が期待でき、呼吸器障害の治療だけでなく予防にも効果があります。
2・呼吸理学療法を行うことのメリット
呼吸器は人が生きていくために欠かせない器官です。呼吸器の疾患で肺や気管支の機能が衰えると、止まらない咳や、ちょっとした動きでも息切れするなど、日常生活に支障が出るほどの症状に苦しむこともあります。もちろんそれらの症状の原因を特定し、吸入薬などお薬の使用は大切です。しかし、薬だけでは呼吸器の筋力や機能が向上することはありません。
呼吸器の機能低下の怖いところは、呼吸器のみならず全身の機能、精神面にも大きな悪影響を及ぼすことです。特にCOPDなど高齢の方に多くみられる疾患は、呼吸が苦しくなることによって、動きたくない、活動的になれないということをきっかけに、精神的にも内向的になり、四肢の筋力が低下し、全身が弱っていく、どんどん閉じこもってしまうという悪循環を起こします。また呼吸器は自律神経とも繋がりがあるため、極度の緊張や環境の変化、ストレスによって咳や過呼吸などの呼吸器障害が引き起こされることもあります。
これらの呼吸器障害によって引き起こされる悪循環を解消するためにも、また急性の呼吸器障害に対応する処置法として呼吸理学療法という呼吸器リハビリテーションが重要な役割を担っています。
3・呼吸理学療法の主な手法
呼吸理学療法で行うトレーニングは呼吸法・排痰法・呼吸筋トレーニング・リラクゼーション・筋力トレーニング法など患者様の症状や状態に合わせてプログラムを組んでいきます。
呼吸法
呼吸法は呼吸をする筋肉を上手に使い、換気能力を改善する方法です。呼吸法は「口すぼめ呼吸」と「腹式呼吸(横隔膜呼吸)」を中心にトレーニングを行い、日常生活における運動時に呼吸法をうまく活用できるようにします。呼吸法をマスターできると、突然の息切れや過呼吸などパニックが起きた時にも適用することができます。
「口すぼめ呼吸」はCOPD(慢性閉塞性肺疾患)患者さんに効果的な呼吸法で、鼻から吸った空気を口をすぼめて優しくゆっくり吐き出す方法です。口をすぼめてしっかりと空気を吐き出すことによって、肺内に新鮮な空気を十分に取り入れることができます。「腹式呼吸(横隔膜呼吸)」は、横隔膜という胸とお腹の間にある筋肉をしっかりと使って呼吸をする方法です。横隔膜は呼吸をする時に使用する重要な筋肉です。正しく吸える時にはお腹が膨らみます。腹式呼吸をすることで効率よく呼吸を行うことができ、肺の換気量も増える効果があります。
排痰法
痰がスムーズに排出されないと気道が塞がれ、息切れを起こします。咳を誘発し、肺炎を起こしやすくなります。自力で痰を排出できない患者さんには排痰器具を使った方法もあります。主な排痰方法は「体位排痰」「ハフィング」「咳」「アクティブサイクル呼吸法」などがあります。排痰法をうまく利用して日頃から痰をためないようにすることが大切です。また、痰がいつもと違う形状になった場合には感染症など他の疾患も考えられるので早めに受診するようにしましょう。
リラクゼーション・筋力トレーニング
動かないことで低下した筋力を向上させると呼吸も楽にできるようになります。持久力を鍛え、心肺機能を向上させるために筋力トレーニングを行う場合もあります。筋力トレーニングは患者さんの状況に合わせて自宅でも取り組めるようなメニューを取り入れて継続することで効果がより期待できます。
身体的、精神的に緊張が続いていると十分な酸素を取り入れることができません。リラクゼーション方法はポジショニングという安楽な姿勢を確認し、呼吸コントロール方法などを習得します。
呼吸理学療法を通常の治療と併用して取り入れることは、呼吸器疾患に悩まされている患者さんの生活の質(QOL)を高め、より充実した生活を送る手助けになります。今現在呼吸器疾患を患っている方も、将来的に不安な方も一度呼吸器専門医に相談してみることをおすすめします。
長引く咳、たん、息切れ、アレルギーなどの、ご心配の場合には、呼吸器専門医・アレルギー専門医・総合内科専門医が在籍している当院にお気軽ご相談ください。
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