花粉と咳と喘息の関係
花粉症の時期に喘息や咳、その他のアレルギー疾患が悪化することがあります。また花粉症をきっかけに検査をすると喘息や他のアレルギーが判明することがあります。たかが花粉症と甘くみるのは危険です。やがて呼吸器にも影響を及ぼし重篤化することもあります。このページでは花粉症と咳と喘息の関係について説明していきます。まだ治療を開始していない方は早めの受診をおすすめします。
目次
1・花粉症と咳と喘息の関係
花粉症はスギやヒノキなどアレルゲンとなる花粉が飛散し、体の表面に付着し、吸い込むことで体内に侵入します。花粉が体内に取り込まれると、異物とみなし防御反応が働きます。この時にアレルゲンに対抗してくれるIgE抗体が作られます。IgE抗体はマスト細胞という皮膚や消化管、肺、肝臓などに多く存在している細胞にアンテナ状に張り巡らされていて、花粉が侵入すると防御する体制をとっています。この状態は感作といって、まだアレルギー反応は起こりません。やがてアレルゲンの暴露量が増えたり、体の免疫機能のバランスが崩れた時に再び花粉が侵入してくると、今度はIgE抗体がマスト細胞を攻撃してしまいます。マスト細胞が攻撃されるとヒスタミン、セロトニン、ロイコトリエンなどの化学物質が放出され、それらが鼻の粘膜にある三叉神経を刺激し、くしゃみを起こし、鼻の分泌腺を刺激し鼻水、鼻づまりなどの症状を引き起こします。
人間のからだの構造上、鼻と気道は繋がっています。鼻や目の粘膜に花粉が付着することで起こる症状は気道へと流れて気道が刺激されて敏感になったり、炎症を起こすことになるのです。「One airway,One disease」といわれる概念のもと、アレルギー性の鼻炎は気道系の喘息などのアレルギー疾患と同時にまとめて治療していくことが定着してきています。花粉症を併発している喘息患者さんのおよそ35%の方は花粉症の時期に喘息が悪化したと報告されています。
花粉症の時期の喘息のコントロールを強化することや、何かしらのアレルギーを持っている人は花粉症の時期には特に注意して過ごす必要があります。
2・花粉症が喘息を悪化させる原因
もともとスギやヒノキの花粉は直径30〜40μmで、PM2.5は直径2.5μmなので比較しても大きい粒子といえます。花粉の粒子の大きさでは気道にまで到達することはなく喘息を悪化させることはないのですが、花粉の表面を覆っている0.5μm程度のオービクル粒子が気道にまで行き渡り喘息を悪化させると言われています。そのほかの要因としてアデュバント物質といわれるPM2.5や排気ガスが花粉に密着し、体内でアレルギー反応を引き起こすと、症状を2.5倍も悪化させるといわれています。また、都会の人に花粉症が多くみられるのは、アスファルトに覆われていることも関係しています。飛散物は土の地面だと吸収されますが、アスファルトに落ちた花粉は吸収されず何度も舞い上がってしまうからです。他にも、アレルギー反応は免疫機能と関係があるので、日頃の食生活や精神的ストレスなどによって免疫力を低下させる要因が重なった時により悪化します。特にスギ花粉の時期は風邪やインフルエンザの流行、生活環境の変化など免疫力の落ちやすい時期と重なるので、前もって対策することが大切です。
3・花粉の時期に咳がひどくなったら
花粉はスギだけではありません。ヒノキやブタクサ、シラカンバ、クヌギ、ヨモギなど飛散時期が異なるため、一般的に花粉症の時期ではないのに花粉症のような症状が出る場合はスギ以外の花粉症の可能性もあります。まずはご自身が何の花粉アレルギーなのかを知ることが重要です。
そしてすでに喘息を持っている人は花粉の季節には花粉を取り入れない、薬をコントロールするなどの対策を徹底的にすることで喘息の悪化を予防することができます。
また、花粉症で今まで咳の症状が出ていなかったのに、突然激しく咳が出始めたら、アレルギー、呼吸器専門医のいるクリニックへ早めに受診をしましょう。血液検査やプリックテストでアレルゲンを特定します。花粉だけではく、ダニやハウスダストなど他のアレルゲンが見つかることもあります。
採血検査の他にも当院では呼気NO検査を行うことで、気道に炎症がないか、どの程度の炎症が起こっているかを確認できるので、隠れ喘息も見つけることができ、喘息と花粉症の両方の治療が適切にできます。
花粉症は咳や喘息などのアレルギー症状をさらに悪化させるので、いつもと違う症状が出た場合は注意が必要です。ご自身の判断で市販薬でやり過ごすということはおすすめできません。市販薬はその方の症状に特化したものではないので、場合によっては症状を悪化させることにもなります。少しでも気になる症状がある時はアレルギー、呼吸器専門医のいるクリニックへ相談しましょう。
長引く咳、たん、息切れ、アレルギーなどの、ご心配の場合には、呼吸器専門医・アレルギー専門医・総合内科専門医が在籍している当院にお気軽ご相談ください。
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