コロナ後の咳
新型コロナウィルス感染症(COVID-19)が 2019年の年末から流行し、その後2023年5月にWHOが緊急事態の終了を宣言するまでの約3年間、国内でも「コロナ禍」となり、感染症だけでなく、マスク生活や緊急事態宣言など社会的にも多大な影響がありました。
コロナは感染してから、そして感染後も咳や肺などの呼吸器系、味覚や嗅覚、循環器系など様々な異常をきたすことが多いとても厄介な感染症です。特にコロナ感染後の咳について悩んでいる方がとても多くいらっしゃいます。このページではコロナ後の咳について解説していきます。
1・コロナ感染症の咳の特徴
コロナ感染症の症状の特徴として、一番多いのが発熱、その次に多いのが咳です。コロナの咳は喉の痛みを伴い、通常のかぜと同じような咳が出ます。空咳という乾いた咳が出たかと思うと、痰が絡むような湿った咳になったりします。コロナウィルスが肺炎を引き起こしている場合には、軽症時から突然急変し空咳が止まらなくなり、呼吸困難になり入院が必要になる場合もあります。
一般的なかぜによる咳は1週間ほどで改善するのに対し、コロナの咳は発熱がなくなり、PCR検査で陰性が確認された後も、2〜3ヶ月ほど咳が続き、半年〜1年続くことも報告されています。一度咳が治ったなと思ってもまたぶり返して出てくるなど変動的な咳が続くこともコロナの咳の特徴と言えます。
2・コロナ感染症後見られる症状
コロナ感染症後見られる症状は「コロナ後遺症」として世界的に報告がされています。日本国内でもコロナに感染した患者さんのおよそ3人に1人が何かしらの後遺症と思われる症状があると確認されています。実際に病院に行かずに市販薬などで済ませてしまった人も多く、後遺症があった、あるいは現在も症状が続いている人の数はもっと多いかもしれません。コロナ後遺症の研究は現在世界的に進められていますが、未だ不明な点が多いのが実情です。国内で報告がされている後遺症の代表的なものは倦怠感・疲労感・咳・喀痰・息苦しさ・嗅覚異常・味覚異常・胸痛・関節痛・筋肉痛・脱毛・記憶障害など実に様々です。特に咳や息切れ、呼吸困難など呼吸器系の症状を伴うものが顕著で、未だに咳や喉の痛み、息苦しさを伴い悩んでいる方もいらっしゃいます。
長引く咳はぜん息を悪化させたり、ぜん息を発症させることもあります。また、肺に基礎疾患を持っている方は急激に症状が悪化し、重篤化することもあるので、コロナ後遺症の呼吸器系疾患は注意する必要があります。コロナ感染をきっかけに肺炎を起こし、肺の間質が繊維化してしまうと、息苦しさを伴います。コロナの中等症以上で入院された方が退院された後も半年以上にわたって肺炎の影が残っているということもあります。息苦しさや空咳の症状はこのような肺に異常が起こっていることも考えられます。
3・コロナ感染後の咳の治療
コロナ感染した初期から咳がずっと続いている人も、感染後から咳が出始めた人も、咳の状況はその方によって様々です。だいたい感染してから3ヶ月くらいは続き、なかには1年近くも治らない方もいらっしゃいます。かかりつけ医で問診や検査をしても特定の異常が認められず、経過観察をしている状態で咳が続く方は呼吸器専門医への受診をおすすめします。呼吸器専門医のもとでさらなる病状の把握のため、問診の他に肺機能検査や胸部CTなど必要な検査をします。
今現在コロナ後遺症の咳の治療法として確立されているものはありません。痰をきるお薬や気管支を拡張するお薬で様子を見ていきます。
コロナ後遺症の咳をきっかけに他の呼吸器疾患が見つかる事や、持病が悪化することがあります。特にぜん息の悪化には十分にぜん息をコントロールさせるためのお薬の見直しなどが必要になります。他の疾患原因が判明した場合は、すぐにその疾患に対する治療を始めます。
呼吸器専門医に受診することで咳止めの薬を数種類組み合わせたり、強めのお薬を処方することが可能となります。コロナ禍での花粉症時期と重なり、個人での判断が難しいこともあるため、市販薬で適当に済ます事は避けたほうが良いと思われます。
コロナ後の咳の原因は心因的なものであったり、神経系のものである場合もあるので、その際にはしかるべき専門機関への紹介も行います。咳の症状がひどくなると睡眠の質を下げたり、普段に生活においても支障をきたすことがあります。やがて呼吸器系疾患だけではなく、他の疾患を発症する可能性も考えられます。咳が悪化した、気になる咳が続くなど、コロナ後の咳の症状には呼吸器専門医と相談しながら治療を進めていくのが最善です。
長引く咳、たん、息切れ、アレルギーなどの、ご心配の場合には、呼吸器専門医・アレルギー専門医・総合内科専門医が在籍している当院にお気軽ご相談ください。
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