メニュー

咳喘息とは?症状・原因・診断・治療期間までわかりやすく解説

 

長引く咳、そのままにしていませんか?

風邪をひいた後に咳だけが長く残る、夜間や明け方に咳が出る、会話や冷たい空気で咳き込む――
このような症状が続く場合、「咳喘息」の可能性があります。

 

咳喘息は、一般的な喘息のような「ゼーゼー」「ヒューヒュー」といった喘鳴が目立たず、咳だけが続くことが多い病気です。そのため、「風邪が長引いているだけ」と思われやすい一方で、適切に治療しないと気管支喘息へ移行することもあります。

 

当院には、「咳」でお悩みの方が多く来院されています。
咳の原因はさまざまですが、このページではその中でも特に多い「咳喘息」について、症状・診断・治療・治療期間をわかりやすくご説明します。

咳喘息とは

咳喘息とは、主に「咳だけ」が続くタイプの気道の病気です。
一般的な喘息では「ゼーゼー」「ヒューヒュー」といった喘鳴や息苦しさを伴うことがありますが、咳喘息ではこれらの症状が目立たず、風邪の咳が長引いているだけと思われることも少なくありません。

 

しかし、咳喘息では気管支に炎症が起きており、気道が刺激に対して敏感な状態、つまり「気道過敏性が高まった状態」になっています。

咳喘息と気管支喘息の違い

咳喘息と気管支喘息は、どちらも気道に炎症が起こり、刺激に対して気管支が敏感になる病気です。
ただし、症状の出方や治療の考え方には違いがあります。

 

咳喘息では、主な症状は咳のみです。

一方、気管支喘息では、咳に加えて、喘鳴、息苦しさ、胸の苦しさなどがみられることがあります。

 

気管支喘息では気道の炎症を繰り返すことで発作が起こりやすくなるため、長期的に炎症を抑える治療を継続することが大切です。

咳喘息は、適切に治療を行い、症状が安定すれば、将来的に薬を減らしたり休薬を目指せる場合があります。


ただし、吸入ステロイド薬による治療が不十分な場合や、咳を繰り返す場合には、約30〜40%が気管支喘息へ移行します。

そのため、咳喘息は「咳だけだから軽い病気」と考えず、早い段階で気道の炎症をしっかり抑え、咳が治ったからと言って吸入をやめないことが大切です。

咳喘息の診断基準について

咳喘息では、長引く咳を中心に、症状の出方や検査結果、治療への反応などを総合的にみて診断します。

咳喘息を疑ううえで、特に重要なポイントは以下の2つです。

・3週間以上、咳が続いていること
・気管支を広げる薬、いわゆる気管支拡張薬によって咳が改善すること(診断的治療)

これらを満たした場合、咳喘息を疑って治療を継続していきます。

 

ただし、長引く咳の原因は咳喘息だけではありません。
感染後咳嗽、副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎、逆流性食道炎、肺炎など、ほかの病気が関係していることもあります。

そのため当院では、症状の経過を確認し、必要に応じて胸部レントゲン検査、呼吸機能検査、呼気NO検査、モストグラフ検査、アレルギー検査などを組み合わせながら、咳の原因を追究していきます。

咳喘息の咳発作を起こす主な刺激

咳喘息では、気道が刺激に対して敏感になっているため、さまざまなきっかけで咳発作が起こることがあります。

主な刺激として、以下のようなものがあります。

特に、夜間や明け方、寒暖差、会話中、電車内、運動後などに咳が強くなる方は、咳喘息が関係している可能性があります。

咳喘息の重症度と治療薬の選択

咳喘息は重症度(軽症または中等症以上)で継続治療と増悪時の治療がやや異なります。

以下の表を参考に加療を行います。

※上記の略語

ICS:吸入ステロイド剤、LABA:長時間作用性β刺激薬、LAMA:長時間作用性抗コリン薬

LTRA:ロイコトリエン受容体拮抗薬、BUD/FOM:ブデソニド/ホルモテロール配合剤

OCS:経口ステロイド剤、SABA:短時間作用性β刺激薬、SAMA:短時間作用性抗コリン薬

咳喘息の治療期間について

症状や経過を見ながら、短期間で治療を終了できるか、それとも長めに治療を継続したほうがよいかを判断していきます。

短期間で休薬を目指せる場合

・短期間の吸入で咳が完全に消失した場合
・過去数年以上、毎年同じ季節だけ咳が出ている場合(季節性の咳喘息)

このような場合は、症状が落ち着けば、休薬を検討できることがあります。

ただし、最初は季節性の咳であっても、経過とともに一年を通して咳が出やすくなることがあります。
そのため、季節を過ぎても咳が続く場合や、以前より咳が出る期間が長くなっている場合は、治療方針の見直しが必要です。

長期間の治療が必要になる場合

以下のような方は、症状が再発しやすかったり、気管支喘息へ移行しやすかったりする可能性があるため、慎重に治療を継続します。

  • 気道のアレルギー性炎症が強い方
  • 呼気NOが高い/血液検査で好酸球が高い方
  • 気道が刺激に対して過敏になっている方
  • ダニ、ハウスダスト、ペット、花粉などのアレルギーがある方
  • アレルギーの原因に日常的にさらされている方
  • 呼吸機能検査で息を吐く力の低下がある方
  • 咳の悪化を繰り返している方
  • 喫煙している方、または受動喫煙がある方

ガイドライン上では、症状が安定した後も約1年間は治療を継続し、吸入ステロイド薬が最低用量まで減らせて、無症状の状態が続いている場合に休薬を検討するとされています。
また、休薬後1年間、症状の再燃がない場合に「寛解」と判断します。

ただし、「1年間治療を続ける」と聞くと、驚かれる患者さんも少なくありません。
そのため当院では、まずは半年程度をひとつの目安として治療を継続し、咳の状態や検査結果をみながら、その後の治療方針を相談していきます。

Q&A

Q. 咳が止まったら吸入薬をやめてもいいですか?

咳が止まっても、自己判断で吸入薬を中止することはおすすめできません。

咳喘息では、症状がよくなったように見えても、気道の炎症がまだ残っていることがあります。その状態で薬を急にやめると、再び咳が出たり、風邪や花粉、寒暖差などをきっかけに悪化したりすることがあります。

症状が安定してきたら、医師と相談しながら薬を少しずつ減らし、休薬できるかどうかを判断していきます。

Q. ステロイドと聞いて副作用は大丈夫ですか?

咳喘息で使用する吸入ステロイド薬は、気管支に直接届く薬です。
飲み薬や点滴のステロイドと比べると、全身への影響は少ないとされています。

主な副作用としては、声がかれる、のどに違和感が出る、口の中にカビが生える口腔カンジダなどがあります。
これらは、吸入後にうがいをすることで予防できることが多いです。

副作用が心配な場合も、自己判断で中止せず、薬の種類や量、吸入方法を調整できることがありますのでご相談ください。 

Q. 吸入薬で声がかすれる場合はどうすればよいですか?

吸入ステロイド薬では、声がかれることがあります。
これは薬がのどや声帯の周囲に付着することで起こることがあります。

予防としては、以下のような方法があります。

・吸入後にうがいをする
・うがいだけでなく、のどをよくすすぐ
・吸入後に水を飲む
・吸入の方法を確認する
・必要に応じて吸入補助具を使用する
・薬の種類やデバイスを変更する

声がれが気になる場合でも、自己判断で吸入を中止せず、診察時にご相談ください。吸入方法の確認や薬の変更で改善することがあります。

Q. 咳喘息は気管支喘息になりますか?

咳喘息の一部は、気管支喘息へ移行することがあります。

以前の報告では、吸入ステロイド薬による治療が十分に行われていなかった時代には、成人の咳喘息の約30〜40%が気管支喘息へ移行したとされています。

ただし、吸入ステロイド薬を早期から適切に使用することで、気管支喘息への移行を減らせると考えられています。

咳喘息は「咳だけだから軽い病気」と考えず、気道の炎症をしっかり抑えることが大切です。

Q. どのくらい治療を続ける必要がありますか?

治療期間は、症状の強さ、咳が続いている期間、再発のしやすさ、アレルギーの有無、検査結果などによって異なります。

咳喘息は、治療を始めると比較的早く咳が軽くなることがあります。
しかし、症状が改善しても気道の炎症が残っている場合があるため、すぐに治療を終了するとは限りません。

ガイドライン上では、症状が安定した後も一定期間治療を継続し、吸入ステロイド薬が最低用量まで減らせて、無症状の状態が続いている場合に休薬を検討するとされています。

当院では、まずは半年程度をひとつの目安として治療を継続し、咳の状態や検査結果をみながら、薬を減らすか、継続するかを相談していきます。

Q. 咳止めだけではだめですか?

咳喘息では、咳止めだけでは十分ではないことがあります。

咳喘息の背景には、気道の炎症や気道過敏性があります。
咳止めは一時的に咳を抑える目的で使うことがありますが、気道の炎症そのものを改善する治療ではありません。

咳喘息の治療では、吸入ステロイド薬などで気道の炎症を抑えることが基本です。
咳を一時的に止めるだけでなく、再発や気管支喘息への移行を防ぐためにも、原因に合わせた治療が大切です。

Q. 悪い時だけ吸入を使う方法ではだめですか?

咳喘息の吸入薬は、症状が悪い時だけ使うよりも、一定期間継続して使うことが大切です。

咳喘息では、咳が出ていない時でも気道の炎症が残っていることがあります。
悪い時だけ吸入していると、炎症が十分に落ち着かず、咳を繰り返したり、治療が長引いたりすることがあります。

症状が落ち着いた後も、医師の指示に沿って治療を続け、安定してから少しずつ減量や休薬を検討します。

Q. 咳喘息は人にうつりますか?

咳喘息そのものは感染症ではないため、人にうつる病気ではありません。

ただし、風邪やインフルエンザなどの感染症をきっかけに、咳喘息の症状が悪化することがあります。
また、風邪の後に咳だけが長く残り、咳喘息と診断されることもあります。

咳が長引く場合は、感染症が残っているのか、咳喘息など別の原因があるのかを確認することが大切です。

Q. 寛解後に再発した場合、治っていなかったのでしょうか?

寛解とは、症状が落ち着き、薬を中止しても再燃していない状態のことです。
「完治」とは異なり、将来的に再び咳が出る可能性は残ります。

咳喘息は、風邪、花粉、黄砂、寒暖差、疲労、睡眠不足などをきっかけに再発することがあります。
そのため、寛解後に再発したからといって、必ずしも「治っていなかった」という意味ではありません。

再発した場合は、早めに治療を再開することで、症状の悪化を防ぎやすくなります。

Q. レントゲンで異常がなくても咳喘息ですか?

はい、咳喘息は、気管支の炎症や気道の過敏性によって咳が続く病気です。
そのため、胸部レントゲンでは異常がみられないことも多くあります。

レントゲン検査は、肺炎、肺がん、結核、気胸など、長引く咳の原因となる他の病気がないかを確認するために行います。
咳喘息の診断では、症状の経過、呼吸機能検査、呼気NO検査、治療への反応などを総合的に判断します。

Q. 咳喘息として吸入を使ってよくなりましたが、完全には止まりません。お薬が合っていないのでしょうか?

吸入薬を使って咳が軽くなっている場合、咳喘息に対する治療として一定の効果が出ている可能性があります。
ただし、咳が完全には止まらない場合、必ずしも「薬が合っていない」というわけではありません。

長引く咳の原因として、咳喘息はとても多い病気です。
一方で、長引く咳が「ひとつの病気だけ」で説明できる方は約6割程度とされ、残りの方では、複数の原因が重なって咳が続いていることがあります。

たとえば、咳喘息に加えて、以下のような病気や状態が隠れていることがあります。

・アレルギー性鼻炎
・副鼻腔炎・後鼻漏
・逆流性食道炎
・感染後咳嗽
・アトピー咳嗽
・咳過敏症候群
・喫煙や受動喫煙による気道刺激
・薬剤性の咳

特に、鼻水がのどに流れる「後鼻漏」や、胃酸の逆流による刺激、咳が長引いたことで咳反射が敏感になる「咳過敏」は、咳喘息と一緒にみられることがあります。
このような場合、吸入薬で咳喘息の部分は改善していても、別の原因による咳が残ることがあります。

そのため、吸入薬である程度よくなっているものの咳が完全に止まらない場合には、吸入方法が正しくできているか、薬の量や種類が適切かを確認するとともに、咳喘息以外の原因が隠れていないかもあわせて確認します。

咳が出る時間帯、痰の有無、鼻症状、のどに鼻水が落ちる感じ、胸やけ、食後や横になった時の悪化、会話やにおいで咳が出るかなどを確認することで、原因に合わせた治療につなげることができます。

HOME

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME